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第52話 「前向きな違和感」

Auteur: 詩乃宮
last update Date de publication: 2026-08-18 11:00:23

 瑠奈とのセックスから数日。あの日はマジで皇の精子が空になるまで搾り取られた。ゲーム内でのセックスだったというのに、そのぐったりとした疲れをログアウト後も感じるぐらいだった。

 そうして、瑠奈から神器の欠片を受け取り、3つの欠片が揃った。

 ……正直、揃ったから何かが起きる訳でもなく。また、皇はいつもの日常に帰っていた。

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「愛鹿―、受け渡し終わったぞー」

 玄関から戻り、リビングで作業をする愛鹿に声をかける。

 今日のメインの業務は梱包作業と、午後16時頃にくる宅急便への大量の荷物の引き渡しだった。

 此処最近、皇の作業速度はぐんぐんと上がり、自分でも「あれ?こんな器用だったっけ?」と思うレベルになっていた。

 いや、それは愛鹿のアルバイトだけではなかった。前より、味というものが分かるようになった。それは薊の料理を食

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    「……剣のにーちゃん……」 口からポロリと零れたのは懐かしい呼称。剣のにーちゃん、そう呼んだヴィクトの顔はいつもより僅かに幼さをこの場に居る全員に感じさせた。 すると、クロムが目を開ける。その瞳にさっきまでの獰猛さはなく、穏やかな雰囲気が漂っていた。「ちょっと恥ずかしいな。俺のことはクロムって呼んでくれ。異界の」 ヴィクトは泣きそうになった。そのヴィクトへの接し方はあの頃からまるで変わっておらず、これが本当の再会なのだということをヴィクトに教えた。「じゃあ、俺のことも……此処ではヴィクトって呼んでくれ」「ああ、ハンドルネームという文化だな」 そう言う知識あるんだ!そんなツッコみがついつい出そうになってしまう。だが、とりあえず、ヴィクトがクロムに手を差し出せば、クロムはそれを取って立ち上がった。 そして、4人が僅かに警戒をしながら近寄ってくる。そんな4人に安心して欲しくてヴィクトはクロムに話を振った。「支配は解けた、ってことでいいんだよな?」「ああ。ヴィクトが立ち切った数字の羅列、あれが俺の魂を支配していたんだ」「そういうことだったの」 そう声をあげたのは双鹿だった。双鹿は言う。「ずっと考えていたわ。単純にこの空間がテクスチャを張るほどの意味のない空間だからコードが剥き出しなのか、それとも意味があってコードが張り巡らされているのか」 双鹿は空を見上げる。黒い空間に無数のコードが泳いでいて。「あれらのコードは繋がっていない。1本1本が独立してる……つまり……」「優秀なブレーンがいるんだね、ヴィクト」 クロムは罪悪感の滲む目で拍手をした。一方ヴィクトはなんで、クロムがそんな表情をしているか分からなくて、双鹿を見た。「あそこに浮いているコード、全てが恐らくクロムさんが今までにAWM内で殺した人間の魂を電子化して縛っている」 そんな双

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     そうして、一歩を踏み出した瞬間だった。 ヴィクトの脳みそが軋むようなちょっと痛むような感覚。その感覚に奥歯を噛み、こめかみを押さえて、目の前を見れば。「……また、なにかを思い出すんだな」 ヴィクトは聖ユリア王国の王宮の鍛錬場に居た。さっきまで、聖ユリア王国の外に出ようとしていたのだから、これは確実に脳が見せている幻だと言えた。 そんな中で、幼い声がした。「鍵?剣……?」 そんな疑問を呈するのは幼い日のヴィクト、いや、この姿なら皇と言う方が正しいだろう。幼い皇は地面に座って、剣のにーちゃん……いや、クロムの腰についている銀色の、鍵の形をした剣を見ていた。「鍵であり剣これはその両方なんだよ」「へー……」(幼い俺……!) 幼い皇は正直分かってない顔をしていた。ピンと来てない。その様子にクロムも苦笑しながら、でも、クロムはその剣を腰から外して幼い皇に見せながら言うのだ。「近衛騎士には次元渡りの剣が与えられるんだ。俺には大層なものだけどね」「たいそう?」「滅多に使わないということさ。でも、普段はこの剣は普通の剣と変わらない」「え!?変わらないの!?」「変わらない。必要な時や次元を跳躍しないと勝てない相手が現れた時のみ、この剣はその真価を発揮するんだ」 そんなクロムの言葉に、幼い皇はまた、ぴんと来てない顔をして。我ながらその間抜け面に後頭部をひっぱたいてやりたくなる。「必要なとき以外、抜いちゃいけないんだ」 クロムは真剣に次元渡りの剣を見つめる。その瞳は、願いのようなものが揺蕩っていて。あのときは分からなかった。でも、今なら分かる。その願いが。(……そんな時が来ないことを願うよな) そして、クロムの姿が遠のいていく。今、次元渡りの剣はクロムの手の中にではなく、ヴィクトの手の中にある、その意味

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